- 北海道の家はみんな二重窓って本当なの?
- 知り合いが北海道に住んでいるけど二重窓じゃないみたい
- 北海道は玄関も二重だって聞いたことがあるけど本当?
こんな疑問に北海道で生まれて45年、転勤もせずにひたすら札幌に住み続けている私に回答権があると思うのでお答えします。
幼少の頃からの記憶をたどって説明しますので昔のことは不明瞭な点や、田舎の地域のほうに住んでいるためマンションにはほとんど行ったことがありません。ご理解ください。
- 北海道の家でも二重窓の家とそうではない家がある
- 玄関も二重になっている家もある
どうしてそうなのか最後までご覧ください
北海道の家が二重窓である理由
北海道防寒住宅建設等促進法があったため
昭和28年に北海道防寒住宅建設等促進法(寒住法)というものができました。
これはすごい寒い北海道の住宅に合わせた建物を作りなさい、という法律であり開口部(窓)は一重ではなく二重にしなければいけません。
私の以前の実家は昭和40年頃に建ったいわゆる三角屋根の建物でした。なぜ屋根が三角かというと雪で家が潰れないようにするためです。
結構な傾斜がついていて雪が勢いよく落ちてくるので、絶対に屋根の下には行かないように子供達は皆注意されていました。昔は断熱も良くなく長いつららができているのは冬の風物詩でしたね。
窓も二重ではありましたが、
- 外窓はアルミ枠のアルミ窓1枚ガラス
- 内窓は木製枠の木窓1枚ガラス
で内窓は現在のオシャレな木窓とは異なり、力ずくで無理やり開閉する断熱性など微塵も感じさせない作りでした。
外窓も冬になると凍りついて開閉不能に……。アルミサッシ部分の下に氷がたくさんついていた記憶があります。
参考:北海道住宅供給公社による昭和40・50年代のコンクリートブロック造住宅における間取りの決定プロセスと住意識に関する考察
↑こちらのリンクの写真の家が似ていて昔の実家よりも立派な感じです
北海道の家でも二重窓じゃない理由
樹脂窓のペアガラスが販売されたため
アルミ窓との二重窓が必須であった北海道ですが、転機が訪れます。
樹脂窓である「シャノンウインド」が1976年に誕生したからです。北海道に長年住んでいる人であれば「エクセルシャノン」は聞き覚えがあるはず。
1978年、建設大臣の認定により、樹脂サッシ「シャノンウインド」であれば、窓を二重にしなくても寒住法の適用が認められることになりました。
断熱性の高い樹脂窓の出現により、二重窓ではなくてもよくなったことが北海道でも二重窓じゃない家が存在する理由となります。
その後ガラスも進化し、現在では1つの樹脂枠の中に
- Low-Eペアガラス
- ダブルLow-Eトリプルガラス
- 上記プラス間の空気層にアルゴンガスを封入
など二重窓の必要性が感じられないくらいに断熱性の高い製品が出てきています。
逆に初期段階で販売された樹脂窓は、私の現在の家のようにペアガラスではあるが今のLow-Eガラスと比べると断熱性能がかなり劣ります。
そのような住まいのかたが寒さ対策で二重窓(内窓)を追加で付けるので、北海道の住宅は二重窓の家とそうではない家が混在しています。
現在の北海道の新築の場合は「一重窓のトリプルガラス」が圧倒的に多いでしょう。
Low-Eガラスについては別の記事で詳しく解説しました↓↓
住宅金融公庫融資住宅の仕様書で決まりがあった
今ではフラット35など、民間金融機関と住宅金融支援機構が連携して提供する住宅ローンを使ったりしますが、昔は政府系の住宅金融公庫がその役目を担っていました。
その仕様書というものがあり、昭和63年築の中古で購入した我が家の建築物確認通知書にも付属していました。
先に説明した「北海道防寒住宅建設等促進法に適合したものとすること」との記載も確認。
熱貫流率がそれぞれ
- 1枚ガラスが6.0
- ペアガラスが2.9
- 1枚ガラスの二重窓が3.23
といわれています。
北海道は当時3種の中から選べたようです。
- イ 1枚ガラスの二重窓(そのうちの一方の窓枠は木製か樹脂)
- ロ ペアガラスの一重窓(窓枠が木製か樹脂)←これが先ほど解説したシャノンウインドが認可されたからですね
- ハ 1枚ガラスとペアガラスの二重窓(枠の素材は不問)
東北3県は別として、他の地域は1枚ガラスのアルミ枠で良かったようで、これが長い間日本の窓の断熱が考えられなかった要因ともなってそうですね。
省エネ基準の落とし穴
住宅の断熱性能は昭和54年に初めて省エネ法で基準が示されました。
当事オイルショックの影響により、家庭暖房の主な燃料の灯油価格が倍増し住まいの断熱にも焦点が当てられたのでしょう。
- 旧省エネ基準(昭和55年基準)
- 新省エネ基準(平成4年基準)
- 次世代省エネ基準(平成11年基準)
と時代の移り変わりと共に省エネ基準も強化されてきました。
しかし、驚くべきことにこれらの基準は達成の義務がありませんでした。なんと2025年の4月から全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます。
これらの断熱基準には、残念ながら達成の義務はありませんでした。つまり、皆さんの家が建てられた年代の基準の断熱性能が、皆さんの家に備わっているとは限りません。(中略)平成11年基準を満たす家でさえも、窓まわりを断熱リフォームすることで更に暮らしを改善できる可能性があるということです。
北海道の玄関は二重になっている?
北海道の玄関は二重になっている家が多いです。「玄関フード」と道民は呼ぶのですが、全国的には「風除室」の呼び名で通じると思います。
大雪が降った場合、風向きにより玄関フードがない場合、最悪玄関ドアが開かなくなる恐れがあります。また、玄関ドアの前に囲みができるので、冬の厳しい寒さも幾分緩和されますね。
最近は高断熱玄関ドアが出ているので玄関フードがない家も見受けられますが、そのような場合は風下に玄関があるか、玄関自体が道路よりもかなり高く設置されているように感じます。
玄関フードには除雪道具を置いたり寒冷時には食品を置いたりとそれぞれの家庭の個性が現れていますよ。
本州のお宅にお邪魔した機会がないので分かりませんが、北海道の家では玄関で靴を脱いだらすぐ扉(たいていガラス付きの引き戸)があるのが一般的です。
つまり玄関からリビングに行くには2回戸の開閉を行う場合が多いです。勝手口があるお宅は北海道ではあまり見かけません。(冬は雪で出れませんから)
また、北海道では雨戸が付いている家も見当たりません。冬に凍結してしまうので動かなくなるからかと思います。
まとめ
北海道の二重窓(内窓)事情をずっと暮らしてきた私なりに解説させていただきました。
まとめると、北海道では二重窓の家とそうではない家が混在しているということです。
- 新築当初から二重窓が法律で義務付けられてた家
- 窓の進化により一重窓のペアガラスで良くなった家
- ↑当初は良かったが後から寒くて二重窓を追加した家
- 更に窓が進化し一重窓(ペアガラス・トリプルガラス)で十分寒さ対策ができている家
玄関フード(風除室)も付いている・付いていない家両方ありますが、我が家では降雪時に大活躍しています。
以上、北の大地からお伝えしました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました
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