マンション暮らしでは、冬の寒さや結露に悩む人が多くいます。住み心地を左右する要素の一つが、窓周りの環境です。近年は「内窓」の設置が注目されています。
この記事では、マンションでの内窓設置の可否やメリット・デメリット、設置費用などを詳しく解説します。
記事を読めば、マンションで内窓の導入が可能かを判断でき、設置に向けた準備を進めることが可能です。内窓を設置すると断熱性や防音性が向上し、室内の快適性が高まります。
マンションでは内窓の設置に管理組合の許可が必要な場合があるため、設置前に管理規約を確認しましょう。
内窓についての基礎知識と注意点
内窓についての基礎知識と注意点について、以下の内容を解説します。
- マンションの共用部分と専有部分の違い
- 内窓設置に関する管理規約の確認事項
マンションの共用部分と専有部分の違い
マンションで内窓の設置を検討する際は、共用部分と専有部分の違いを理解することが重要です。
マンションの共用部分は、建物の構造上重要な部分や複数の住戸で共同利用する部分を指します。共有部分は外壁や屋根、廊下、エレベーター、階段が含まれます。
窓枠は共用部分として扱われる場合が多いため、管理組合の許可が必要です。マンションの専有部分は、区分所有者が単独で所有・使用する部分を指します。
専有部分は室内の壁や床、天井、設備機器などです。専有部分でも共用部分に影響を与える場合や、管理規約で制限がある場合には管理組合の承認が必要になります。
内窓設置に関する管理規約の確認事項
内窓を設置する際は、管理規約の確認が欠かせません。以下の項目をチェックしてください。
- 内窓設置の禁止規定
- 窓の改修に関する具体的な規定
- 外観変更に関する制限
- 工事の届出や承認手続き
- 防音や断熱に関する規定
- 設置後のメンテナンス責任の所在
- 他の住戸への影響に関する規定
- 過去の設置事例の有無
上記の項目を確認すると、スムーズに内窓を設置できます。管理規約に明確な記載がない場合は、管理組合や管理会社に相談しましょう。
マンションで内窓を設置するメリット
マンションで内窓を設置するメリットは、以下のとおりです。
- 断熱性能が向上する
- 防音効果で静かな暮らしができる
- 結露の軽減で窓周りの掃除が楽になる
- 省エネ効果が期待できる
- 防犯性を強化できる
断熱性能が向上する
マンションで内窓を設置すると断熱性が向上します。外気の熱さや寒さの影響を抑えられるため、室内の快適性を高めることが可能です。
夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境を維持できます。断熱効果の向上により冷暖房の効率が上がり、光熱費の削減も可能です。
窓ガラスの表面温度が上がることで、結露やカビ・ダニの発生リスクを抑えられます。内窓の設置により冷暖房効率が向上すれば、電気代やガス代の節約につながり、環境負荷の軽減にも貢献できます。
防音効果で静かな暮らしができる
防音効果の向上も、マンションで内窓を設置するメリットの一つです。外部の騒音を軽減し、静かな室内環境を実現できます。
二重窓構造により音の遮断性能が高まり、交通騒音や隣家の生活音の低減が可能です。静かな環境は集中力の向上や睡眠の質の改善、ストレスの軽減にもつながります。
防音性能は内窓の種類やガラスの厚みによって異なるため、高性能な製品を選ぶとより効果が高まります。既存の窓との組み合わせも防音性能に影響を与えるので、適切な製品選びが重要です。
結露対策になる
マンションで内窓を設置すると、窓ガラスや窓枠に付着する水滴が減少します。カビの発生を防ぎ、窓周りの清潔さを維持できます。
内窓は結露防止による住宅の間接的な耐久性の向上や、省エネにつながる有効な対策です。窓拭きの回数が減るため、窓掃除の負担も軽くなります。
小さな子どもや高齢者がいる家庭では内窓の設置により、結露により床がぬれて転倒するリスクを低減できます。既存の窓を活用できるため、比較的簡単な工事で内窓を導入できる点もメリットです。
内窓を設置すると結露による壁紙や家具の劣化を防ぎ、インテリアの美しさを保つことにつながります。
省エネ効果が期待できる
内窓を設置すると冷暖房の効率が向上します。内窓の設置による省エネ効果は、以下のとおりです。
- エアコンの使用頻度が減る
- 光熱費を削減できる
- CO2排出量が減る
内窓の設置は、家計の節約だけでなく環境にも優しい選択と言えます。快適な暮らしと省エネを両立したい人に内窓はおすすめです。
防犯性を強化できる
内窓の設置により防犯性を高める効果が期待できます。二重窓構造により侵入が難しくなるため、不正侵入のリスクを低減できます。
防犯ガラスを選ぶことで空き巣の対策になります。防犯ガラスとは2枚のガラス間に特殊なフィルムを挟んだ合わせガラスのことです。
内窓は外部からの視線を遮るため、プライバシー保護にも有効です。ロック機能付きの内窓を選べば、安全性が向上します。内窓の開閉とセンサーと連動させれば、不正侵入を素早く検知し対応できます。
マンションで内窓を設置するデメリット
マンションで内窓を設置するデメリットは、以下のとおりです。
- 窓の開け閉めが手間になる
- 掃除の手間が増える
- 初期費用がかかる
窓の開け閉めが手間になる
内窓を設置すると、窓の開け閉めに手間がかかることがデメリットの一つです。二重構造により窓の開閉操作が2回必要となり、煩わしく感じます。
内窓の設置によって開口部が狭くなり、操作しづらくなる点も課題です。特に高齢者や体の不自由な方にとっては、内窓の開け閉めは負担になります。
内窓の構造によってはカーテンやブラインドの取り付け位置が変わり、既存の製品が使えなくなります。内窓の種類によっては窓全体の重量が増し、開閉時に力が必要です。場合によっては、内窓の新しい操作方法に慣れるまで時間がかかります。
掃除の手間が増える
内窓を設置すると、掃除の手間が増える点に注意が必要です。内窓と既存の窓の間にできる空間には、ホコリや虫の死骸が溜まりやすく、定期的な清掃が欠かせません。
内窓と既存窓の間の清掃が必要だったり、二重窓構造によりガラス拭きの手間が増えたりします。レールや溝の定期的な清掃も必要です。
窓に結露が発生した場合、拭き取りが手間に感じる可能性があります。
» 後悔しない二重窓の選び方とは？特徴やポイントをわかりやすく解説！
初期費用がかかる
内窓の設置には一定の初期費用がかかります。省エネ効果や快適性の向上は期待できますが、費用面の検討も重要です。
サイズによりますが、一般的に1窓あたりの設置費用は3～15万円程度です。部屋全体に内窓を導入すると、総額が約数十万円に及びます。高性能な断熱内窓を選ぶほど、費用が高くなる点に注意してください。
内窓の導入時には複数の施工業者から見積もりを取り、コストと性能のバランスを比較検討することが大切です。
長期的には、内窓の省エネ効果による光熱費の削減や住環境の改善などのメリットが期待できます。費用対効果を考慮しながら、最適な選択をしましょう。
窓の大きさや使うガラスの種類で価格はかなり異なります
マンションの内窓設置にかかる費用と補助金
マンションの内窓設置にかかる費用や利用できる補助金について、以下の内容を解説します。
- 設置費用の相場
- 利用可能な補助金の種類
- 補助金の申請方法
設置費用の相場
マンションに内窓を設置する費用は、1窓ごとに3〜15万円程度です。窓のサイズやガラスの種類によって変動しますが、部屋全体では数十万円かかります。
メーカーでも価格が異なるため、内窓のメーカー選びも重要です。高性能ガラスを使用すると、費用が高くなる傾向があります。
内窓の設置費用に影響を与える要因には、既存の窓枠の状態や工事の難易度、地域による価格差などが挙げられます。複数の窓をまとめて施工すると割引が適用されるため、業者に相談しましょう。
» 内窓リフォームの費用相場は？最適なガラスの選び方と費用を抑えるコツ
利用可能な補助金の種類
マンションの内窓設置に利用できる補助金の種類は、以下のとおりです。
- 先進的窓リノベ2025事業
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 地方自治体の補助金
年度や地域によって補助金制度は変更されるため、最新の情報を確認してください。自治体独自の補助金制度もあるので、住んでいる地域の制度を調べましょう。
税制面では、住宅リフォーム減税や省エネ改修税制、固定資産税の減額措置などの利用が可能です。
補助金の申請方法
補助金を申請する際は、まず申請窓口を確認しましょう。補助金の種類によって必要書類は異なりますが、一般的に申請書や見積書、住民票が必要です。書類をそろえたら、申請書に必要事項を正確に記入します。補助金の不明点は事前に問い合わせるのがおすすめです。
添付書類をそろえたら、申請書とともに提出します。補助金の審査結果を待ち、正式な交付通知を受け取った後に工事を実施しましょう。工事の完了後に完了報告書を提出すると、補助金の交付を受けられます。
※住宅省エネ2025キャンペーンでは、事業に登録した事業者が申請を行います。
» 補助金活用で賢く内窓をリフォーム！
マンションに内窓を設置する際の注意点
マンションに内窓を設置する際の注意点は、以下のとおりです。
- 必要に応じて管理組合の許可をもらう
- 工事の流れを事前に確認する
- 信頼できる業者を選ぶ
必要に応じて管理組合の許可をもらう
マンションに内窓を設置する際は規約を確認し、必要に応じて管理組合の許可をもらいましょう。共用部分に影響を与える場合は、工事前に申請が求められます。
スムーズに許可をもらうためには、工事業者の資格や保険加入状況、工事スケジュールや緊急時の連絡先などを用意しましょう。
内窓設置後のイメージ図や工事箇所の写真を添付すると、管理組合の理解を得やすくなります。審査には時間がかかるため、余裕を持って申請してください。規約で定められている場合は承認が下りるまでは、内窓設置の工事を開始できません。
工事の流れを事前に確認する
スムーズに内窓を設置するためには、事前に工事の流れを確認することが重要です。主な流れは以下のとおりです。
- 見積もりと現地調査を実施する
- 工事日程を決定する
- 近隣住民への挨拶と工事の説明を行う
- 資材を準備する
- 養生作業を実施する
- 内窓を取り付ける
- 気密性をチェックする
- 動作確認を実施する
- 清掃と片付けを実施する
- 施工後の説明と注意事項を確認する
内窓設置の工事の流れを理解しておくと、進行状況を把握できます。各段階で必要な準備や注意点を確認することが可能です。スムーズに内窓設置の作業を進めるため、事前に業者と相談し、準備を整えましょう。
信頼できる業者を選ぶ
信頼できる業者を選ぶことは、マンションの内窓設置を成功させるうえで重要です。適切な業者を選ぶと、高品質な施工と安心できるアフターサービスを受けられます。
業者選びの際は、実績や評判を確認しましょう。業者のウェブサイトや口コミサイトで確認が可能です。
長年の経験と豊富な施工実績を持つ業者は、信頼性が高いと言えます。複数の見積もりを比較することも大切です。保証内容を確認し、業者の資格や認定の有無もチェックしてください。
内窓設置の施工事例や写真を確認すると安心です。業者は価格だけでなく、施工の質やアフターサービスの充実度も考慮し、慎重に選びましょう。
業者の選びかたについてはこちらの記事で詳しく解説しました↓↓
マンションの内窓設置に関するよくある質問
マンションの内窓設置に関する以下のよくある質問に回答します。
- 内窓設置の施工時間はどれくらい？
- 内窓設置はDIYでもできる？
内窓の設置を検討している方は参考にしてください。
内窓設置の施工時間はどれくらい？
内窓設置の施工時間は、1窓あたり1時間程度が一般的です。複数の部屋に内窓を設置する場合でも、一般的に1日程度で終わります。
ただし、窓の数や大きさによって施工時間は変動する点には注意しましょう。事前の採寸や準備作業を含めると、全体で数日かかる場合もあります。
工事中は騒音や振動が発生するため、近隣への配慮が欠かせません。工事時間は業者と相談のうえ決定し、周囲の迷惑にならないよう調整しましょう。一部の業者は休日にも対応できるので、自分の都合に合わせて選べると安心です。
内窓設置はDIYでもできる？
内窓をDIYで設置するのは、簡単ではありません。専門知識と技術が必要なため、慎重に検討しましょう。DIYで設置する場合、誤った設置で断熱性や防音性が低下する可能性があります。
不適切な施工では、メーカー保証の対象外になる点にも注意が必要です。複雑な形状や大きな窓の施工は、適切な安全対策が求められます。
DIYは業者に依頼する費用を抑えられますが、時間と労力がかかり、専門知識が必要なので初心者には適しません。
マンションの場合は内窓の設置に管理組合の許可が必要になる場合があるため、専門業者に依頼しましょう。
まとめ
マンションで内窓を設置すると、断熱性や防音性が向上します。結露の軽減や省エネ効果、防犯性の強化なども、内窓を設置するメリットです。
施工は比較的短期間ですが、確認事項があるため、計画的に準備を進めましょう。管理規約の確認や管理組合の許可取得、費用の検討など、事前に注意すべき点もあります。
内窓を設置する際は、メリット・デメリットを理解し、自分の状況に合わせて判断してください。補助金の活用や信頼できる業者の選定など、事前準備を行うとスムーズに導入できます。
内窓はマンションの資産価値向上にもつながるため、長期的な視点での検討も大切です。
