家の断熱性能を上げるために、内窓の設置を検討している方は多くいます。一方で、費用面で躊躇している方も多い現状の中で活用したいのが、内窓設置に使える補助金制度です。
本記事では、内窓設置に使える補助金の種類や申請方法、注意点などを詳しく解説します。
記事を読めば、自分に適した補助金や申請方法がわかり、費用を抑えて内窓を設置できます。補助金を受け取るには、対象条件や申請方法を正しく理解することが大切です。
内窓設置に使える補助金の種類

内窓設置に使える補助金の種類について、以下の項目で解説します。
- 先進的窓リノベ2025事業
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、既存住宅の窓改修工事に対する補助金制度です。事業は2025年3月31日から申請受付が開始され、予算上限に達するまで申請を受け付けています。
補助金の対象となるのは、高性能の断熱窓や内窓の設置など、省エネ性能を高める窓の改修工事です。
工事内容によって補助金額が異なり、最大200万円が支給されます。対象製品は一定の断熱性能基準を満たすものに限定されます。
環境省が設定した基準に沿って、窓の断熱改修による省エネ効果を重視しているのが特徴です。申請の際の注意点は以下のとおりです。
- 事前申請が必要になる
- 施工業者経由で行われる
- 予算に制限がある
工事完了後、登録事業者が補助対象者に代わって申請を行い、交付された補助金は事前に合意した方法で還元されます。補助金制度を活用すれば、住宅の省エネ性能向上と光熱費削減を実現できます。
» 先進的窓リノベ2025事業はこちらの記事で詳しく解説しています
子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、住宅の新築や既存住宅のリフォームを対象とした住宅支援事業です。
事業の目的は、省エネ性能の高い住宅の新築や断熱リフォームの促進です。補助金額は住宅の種類や条件によって異なります。
GX志向型住宅で最大160万円、長期優良住宅で80〜100万円、ZEH水準住宅で40〜60万円です。
長期優良住宅とZEH水準住宅の対象世帯は18歳未満の子どもがいる家庭や、夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯が対象になります。GX志向型住宅や既存住宅のリフォームについては全世帯が対象です。
新築では高性能住宅が対象になり、リフォームでは窓の断熱改修や設備の省エネ改修の導入が支援されます。具体的な支援内容は、以下のとおりです。
- 新築住宅の建設:GX志向型住宅やZEH水準の省エネ住宅の取得
- 既存住宅の断熱リフォーム:窓や壁などの断熱改修工事
- 省エネ設備の導入:高効率給湯器やエコ住宅設備の設置
事業は2024年度補正予算に基づき国土交通省が実施し、2025年から開始されます。予算に限りがあるため、早めの検討と信頼できる事業者への相談が重要です。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅の断熱性能を向上させるためのリフォーム工事に対する補助金制度があります。補助金の対象となる工事は、開口部(窓・ドア)や外壁、屋根・天井、床の断熱改修になります。
補助金額は工事費の1/3以内で、上限は戸建住宅の場合120万円、集合住宅の場合15万円/戸です。
対象住宅は戸建住宅と集合住宅で、築年数の制限はなく、省エネ基準に適合する改修が条件です。申請者は個人所有者や管理組合の代表者などが対象になります。
申請方法は事業年度により異なりますが、一般的に工事前後の写真や見積書、領収書、性能証明書などが必要です。
他の補助金と併用できる場合もありますが、併用条件は制度によって異なるため、事前確認が必要です。
内窓設置に使える補助金の対象と条件

内窓設置に使える補助金の対象と条件について、以下の項目で解説します。
- 補助金の対象となる住宅と工事
- 対象製品の性能基準
- 併用できる他の補助金と条件
補助金の対象となる住宅と工事
内窓設置の補助金は、主に既存住宅の改修・リノベーションに限定されています。「先進的窓リノベ事業」などでは新築住宅は対象外で、建築から1年以上経過した既存住宅が対象です。戸建て住宅や集合住宅、居住用・賃貸住宅が含まれます。
対象工事には内窓設置や外窓交換、ガラス交換、断熱改修などがあります。内窓設置に使える補助金はすべての工事が対象にはなりません。
補助金申請額が一定金額(補助金額5万円)以上であることや、性能基準を満たす製品を使用することが条件です。登録事業者による工事であることも必要です。
内窓設置に使える補助金制度は住宅の省エネ性能向上を目指す方にとって、大きな助けになります。
対象製品の性能基準

内窓設置の補助金を受けるには、製品の性能基準を満たすことが重要です。「先進的窓リノベ事業」では熱貫流率(Uw値)が1.9W/㎡K以下の基準を満たさなければなりません。熱貫流率は断熱性能を示す指標で、数値が低いほど効果が高くなります。
性能評価はJIS規格(JIS A 4706、JIS A 4710など)を参考に行われます。複層ガラスの採用や内窓設置による二重窓構造により高い断熱効果が得ることが可能です。補助金対象になるには一般的に以下の条件が求められます。
- 熱貫流率(U値)が定められた基準値以下であること
- 補助金実施団体に登録された対象製品であること
- メーカーが性能を証明する資料を提出していること
具体的な製品選びは、専門家のアドバイスを受けてください。
» 二重窓で後悔しがちなポイントと上手な選び方
併用できる他の補助金と条件
内窓設置に関する補助金は、他の補助金や支援制度と併用できる場合があります。併用できない制度もあるので注意が必要です。併用可能な主な補助金や支援制度は以下のとおりです。
- 先進的窓リノベ2025事業
- 子育てグリーン住宅支援事業
- 地方自治体の補助金
一方で、地方自治体の補助金で国費が充当されているものは併用できません。自治体の独自補助金との併用については、自治体ごとに条件が異なるので個別に確認してください。補助金を併用する場合は、それぞれの制度の条件を満たすことが求められます。
条件を満たさないと、補助金は受けられません。
内窓設置に使える補助金の申請方法

内窓設置の補助金申請方法について、以下の項目で解説します。
- 申請期限
- 申請手続きの流れ
- 申請に必要な書類
申請期限
申請期限は補助金制度ごとに異なり、予算がなくなり次第終了する場合が多いため注意が必要です。
工事完了後、定められた期間内に申請する必要があります。申請期限は変更される可能性もあるため、最新情報を確認しましょう。
補助金を確実に受け取るためには、工事前の申請要件確認や工事完了後の速やかな申請、必要書類の準備が大切です。申請期限を守ることで、補助金を有効活用できます。
申請手続きの流れ

内窓設置に使える補助金を受け取るための申請手続きの流れは、以下のとおりです。
- 登録された事業者を選定し、工事内容を打ち合わせる
- 工事請負契約と「補助金の共同事業実施規約」を締結する
- 工事前の写真を撮影する
- 工事に着手する
- 必要に応じて、交付申請の予約を行う
- 工事完了後、工事業者が補助金の交付申請を行う
- 交付決定通知を受け取る
- 補助金が工事業者に振り込まれ、工事発注者が受け取る
すべての手続きが問題なく完了すると、補助金が交付されます。一連の流れを理解し、確実に進めることで、スムーズに補助金を受け取れます。
申請に必要な書類
内窓設置の補助金申請にはさまざまな書類が必要です。補助金制度や自治体によって要件は異なりますが、一般的に以下の書類を準備する必要があります。
- 補助金交付申請書
- 建築士による適合証明書
- 工事請負契約書の写し
- 対象製品の性能証明書
- 工事前後の写真(施工状況がわかるもの)
- 領収書の写し
- 住民票の写し
- 本人確認書類の写し
- 振込先口座情報
- 建物の登記事項証明書(補助額が一定以上の場合)
- 見積書の写し
書類は審査の重要な資料になるため、申請前に漏れなく準備しましょう。書類に不備があると申請が通らない場合があります。不明点は早めに申請窓口へ問い合わせてください。
内窓設置で補助金を受けるためのポイント

内窓設置の補助金を受けるためのポイントは、以下のとおりです。
- 事前に確認すべき事項
- 信頼できる業者の選び方
事前に確認すべき事項
内窓設置の補助金を活用するには、事前に確認すべき重要な事項があります。適切な準備を行うことで、スムーズな申請と確実な補助金受給につながります。
住宅の築年数と種類を確認しましょう。戸建てやマンションなど、建物の種類によって適用される補助金が異なる場合があります。
現在の窓の状態と種類を把握することも重要です。内窓設置の必要性や効果を判断する上で欠かせない情報になります。
予算と希望する内窓の種類も、あらかじめ決めておく必要があります。補助金の対象になる製品には性能基準があるので、基準に合致した製品を選ぶことが大切です。
同時に工事の範囲と規模も明確にしておきましょう。どの部屋の窓を対象にするかなどを事前に決めておくと、見積りも正確になります。
申請に必要な書類の準備状況や、工事業者の選定状況も確認してください。場合によっては建材メーカーが発行する性能証明書など、窓の省エネ性能を証明する書類の取得が必要です。
補助金申請後の審査期間も把握しておくと、工事全体の計画を立てやすくなります。
信頼できる業者の選び方
信頼できる業者を選べば、質の高い施工と安心できるアフターサービスを受けられます。業者選びの際は、実績や評判を確認しましょう。
過去の施工事例や顧客の声を参考にすると、業者の信頼性を判断する手がかりになります。
複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。見積もりを比較すると、適正な価格や工事内容を把握できるためです。業者が必要な資格や認定を確認すると、専門性や技術力がわかります。
施工後の保証内容も重要です。長期的な安心のため、充実した保証が付いているかどうかを確認しましょう。
コミュニケーションが円滑に取れるかどうかも大切なポイントです。疑問点や要望を気軽に相談できる業者を選ぶと、トラブルを未然に防げます。
地域に密着した業者を選ぶのもおすすめです。地域の気候特性や建築様式を理解している業者は、適切な提案をしてくれる可能性が高くなります。
最終的には見積書と契約内容をしっかり確認し、不明点は必ず業者に質問して納得してから契約しましょう。信頼できる業者を選べば、安心して内窓設置工事を進められます。

内窓設置で補助金を活用する際の注意点

内窓設置で補助金を活用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 申請前に工事をしない
- 申請が早期終了する場合もある
- 認定された製品を使用する
申請前に工事をしない
申請前に工事を始めるのは避けてください。多くの補助金制度では、交付決定通知を受ける前に工事を始めると、補助金の対象外となるため注意が必要です。場合によっては補助金の返還を受けられない可能性があります。
工事の契約も交付決定後に行うことが原則です。工事の写真や領収書など、申請に必要な証拠を確実に残すようにしましょう。
事前に業者と相談し、申請のタイミングを確認するのも大切です。正しい申請手順に従うことで、補助金を受け取れる可能性が高まります。
申請が早期終了する場合もある

補助金制度には予算枠があるため、申請が早期終了する可能性があるので注意が必要です。
予算に達した場合や申請数が多い場合、人気の高い補助金制度の場合に早期終了の可能性が高くなります。早期終了のリスクを避けるためには、以下の対策が効果的です。
- 早めに申請
- 申請状況のチェック
- 早期終了の考慮
内窓設置の補助金を受けるためには、各制度の申請期間内に必要書類を揃えて申請を行いましょう。
予算に限りがある制度では、予算消化により早期に受付が終了する場合があるため、早めの申請が推奨されます。
認定された製品を使用する
認定された製品を使用するのは、補助金を受けるための重要な条件です。製品選びには十分に注意し、補助金の対象となる認定製品を選ぶことが大切です。
認定製品は、一定の性能基準を満たし、公的機関によって認証されています。施工業者に依頼する場合は、使用する製品が認定品であることを必ず確認してください。
製品の型番や仕様を記録し、認定製品の証明書類は大切に保管しておきましょう。偽造品や非認定品には十分注意が必要です。不明な点がある場合は、補助金事務局や専門家に問い合わせてください。
認定製品は随時変更や追加される可能性があるので、最新情報をこまめにチェックするのも大切になります。
まとめ

内窓設置に使える補助金について、重要なポイントを解説しました。補助金を活用することで、省エネ効果の高い内窓を効率的に設置できます。
内窓設置に関する主な補助金制度としては「先進的窓リノベ事業」や「子育てグリーン住宅支援事業」などがあります。
それぞれ対象となる住宅や工事、製品性能に条件があります。申請には期限があるので、早めの準備が大切です。補助金を受けるためには、以下の点に注意が必要です。
- 事前に条件を確認する
- 信頼できる業者を選ぶ
- 申請前に工事を始めない
- 認定製品を使用する
申請が早期終了する可能性もあるため、計画的に進めることをおすすめします。補助金の活用によって、快適な住環境づくりと家計の節約を両立できます。
